総裁選を前に旧竹下派の領袖が死去した。領袖は竹下登元総理の異母弟だ。

 田中角栄の衣鉢を継いだ竹下派が20世紀末葉の自民党を牛耳っていた処を、最大派閥の勢力を挫いて小泉純一郎が総裁当選を果たして以往、小泉元総理の出身母体たる清和会が最大派閥に伸し上がった。

 池田隼人が興した老舗の宏池会でも、曽ての総裁選に臨み竹下派の小渕恵三を支援した加藤紘一が河野洋平に抗って領袖に就いた為、河野洋平や麻生太郎らは現在の麻生派の源流を成す新派閥に分派した。

 そうした、21世紀劈頭に起きた党内での勢力分布における変動で、清和会と麻生派が党内第1・第2の勢力を成している。

 続く第3勢力が往年の主流派であった旧竹下派だ。

 従って、安倍をオーナーとする清和会と麻生派が今度の総裁選における決選投票で宏池会の領袖たる岸田文雄に投票すれば優に岸田の当選は確実になる。

 清和会・麻生派・宏池会の勢力を今回の国会議員票382から引いた旧竹下派・二階派・石破派・石原派そして無派閥の諸氏らを合せても、清和会・麻生派・宏池会の勢力に到底及ばない。

 そこで関心が持たれることが清和会や麻生派の当選1・2回生らが間違いなく岸田文雄に投票するかだ。

 なるほど、今度の総選挙は陣笠連中にとって厳しい選挙となるだろう。総選挙の顔が岸田文雄では陣笠連中は選挙区で勝てるか大いに心許ない。

 党内第3勢力に堕した旧竹下派とて領袖を死なせ、往年の反主流派に儘総裁の椅子を決められるのは面白くない処だろう。

 従って、石破さんの河野候補への与力や無派閥の諸氏らの動向が注目され、此処に今や党内で最高実力者に伸し上がった二階俊博先生の肚が気にかかる処だ。

 8月初旬、二階先生が自らの秘書を務める息に選挙区を譲るのではとの噂が拡がった。

 自身82歳の高齢に達し、今度の総裁選に立候補した候補者らの何れが当選しようとも史上最長の在職日数を画した二階幹事長の更迭を計るものと思われ、幹事長の職に在るうちに自らの息へ地盤を継承させたいものと憶測される。

 然すれば、歴戦の勇将が今度の総裁選で黙って政界を引退するものか、自らの息の道程を確かにしたい思いからも、来る総選挙の顔に河野太郎を立てるべく、無派閥の諸氏らは固より各陣営の陣笠連中を鼓吹しているであろうことを想像する。

 斯くして、河野総裁誕生に寄与した二階老人の息への処遇を新政権は配慮せざるを得なくなる訳で、それは何よりも二階老人の選挙区たる和歌山3区を世耕弘成うらなりに奪われぬ為の鉄槌となる。

 思えば、世耕の祖父が戦前は立憲政友会に属し、戦後は岸信介内閣で入閣した代議士で、戦争直後の国会でマーカット資金と呼ばれるようになる日銀の隠退蔵物資について暴露したことを憶い起こさせ、和歌山1区から出ていた故・中西啓介とともに和歌山3区の二階先生は小沢一郎に与したことを憶い出す。

 舛添要一はんが言った処の"悪の限りを知り尽くした中西啓介"の和歌山1区の外、公選法改正で次の次の衆議院議員選挙から和歌山県下の選挙区は3つから2つに集約される。

 それだけに、二階老人としても、自らの息の今後を確かに看取るべく、今次党総裁選における躍動はかなりのインセンティブを抱えているものと思料される。


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